能動/受動の二分法の外にあった文法上の態「中動態」を出発点に、意志・責任・自由といった概念の成り立ちを 言語・哲学・歴史を横断して考察する。
「する/される」では捉えきれない「中動態」という失われた態を手がかりに、私たちが当然視している 「意志」や「責任」の概念を根底から問い直す。身近な問いから哲学の核心へ連れて行く稀有な一冊。
「あなたの意志でやったのだから、責任がある」——私たちはこの論法を疑わない。だが國分功一郎『中動態の世界』は、その前提そのものを揺さぶる。鍵は、かつて存在した文法上の態「中動態」だ。能動(する)でも受動(される)でもない、その第三の態がなぜ失われ、代わりに「意志」という概念が前景化したのか。身近な言葉の問いから、意志・責任・自由という哲学の核心へと一気に降りていく構成が見事で、専門書のような難解さなしに、思考が更新される快感がある。哲学を「自分の問題」として読みたい人に最適の一冊。
人文社会科学の哲学クラスタ。著者・國分功一郎のスピノザ論(スピノザを読む順番)とも問題意識が通じ合う。